建設業に携わっておられるなら「決算変更届」についてよくご存じだと思います。

でも毎年の会社の決算期終了後に提出なさっているでしょうか?

きっとほとんどの会社はそうなさっていると思いますが、最近新規で許可を取得なさった会社などの場合、うっかり忘れておられるケースもあるようです。

許可証交付の際、窓口で説明を受けるか用紙にて、必ず指示されているものですが、それでも忘れていた、もしくはめんどくさいから後回しにしておこうという理由で提出が滞っているのかもしれません。

実はこの「決算変更届」は建設業の許可だけでなく、経審、入札にも大きくかかわってくる書類です。

もっとはっきり言うと、建設業許可の取り消しに関係したり、経審においてはすべての経営関係の書類の一番土台となる書類の一つです。

ですから後回しにしたり、さらには建設業の許可更新までの間は出さないなんてことは、もってのほかと言えます。

今回は決算変更届についてあんまりよく知らないという方のために「決算変更届」について簡単にまとめてみました。

これから経審をお考えの方や、許可取得以降そんなもの出した記憶がないという方もぜひご覧ください。

1.そもそも決算変更届ってなに?
2.なぜ毎年決算変更届を出す必要があるの?
3.出さなかったらどうなるの?
4.きちんと毎年提出することのメリットは?
5.決算変更届と経審の深い関係

1、そもそも決算変更届ってなに?

正式には「決算終了に伴う変更届書」といいます。

事業を行っておられるなら、毎事業年度ごとに会計士さんが「決算書」を作成されると思います。
それを建設業法の指示に合う形に作り直したものが「決算変更届」です。

提出期限は毎事業年度終了後4カ月以内です。

「決算変更届」には財務諸表と工事経歴書が含まれますが、事業形態によってはさらに別の書類の作成が必要になります。

※株式会社が株主総会で提出する「事業報告書」とは異なります。
 詳細な工事経歴書の添付、財務諸表を建設業法の様式で作成したり、勘定科目を建設業法上のものに置き換えなければなりません

2.なぜ毎年決算変更届を出す必要があるのか?

上記1で述べた内容から考えるなら決算変更届は単なる変更届というより「事業報告」といった意味合いの強い書類と言えます。

ですから、何か「変更があった時に出す」書類ではなく「毎事業年度終了ごとに出す」書類となっています。

行政側からするなら、毎年決算変更届を提出させることにより、建設業者の営業実態の把握と監督を行っています。

この点は次の3に関係してきます。

3.出さなかったらどうなるの?

上記の2でも述べましたが、行政側は毎年決算変更届を提出させることにより、建設業者の営業実態の把握と監督を行っています。

つまり、毎年の提出を怠るなら
 ⓵決算変更届の提出を怠っていると5年後の建設業許可の更新は当然受け付けられません
 ⓶5年待たずに許可取消処分の可能性もある。
   (実際は営業していても、営業実態が無いとみなされるので)
という結果になります。

4.きちんと毎年提出することのメリットは?

上記3で述べたデメリットの2つが反転することに加え、作成する手間が非常に少なくなります。

というのも、決算変更届には「工事経歴書」が必要です。
「工事経歴書」の作成にはその年度に行った工事の詳細な情報が欠かせません。
(発注先、工事の内容、請負金額、現場の場所、工事期間、技術担当者等)
しかし、数年分を溜めてしまっているとその記録を無くしてしまっている場合もあるでしょう。

そうなると、その年度の工事経歴書は作成できず、自動的に決算変更届も作成できなくなることになります。

手間が減るという点に関しては、準備する書類も少なくてすむというメリットもあります。
納税証明は過去3年分しか証明できませんので、それ以上の年数決算変更届の提出を怠っていた場合にはさらに別の書類が必要となります。

また、税務の修正申告が入っていたり、建設業法上の変更があった場合にも毎年決算変更届の提出を行っていればその都度で対応できますので手続きのコストや労力を減らすことができます。

5.決算変更届と経審の深い関係

 
一言でいうなら、決算変更届は経審を経て入札ランクにまで影響する重要な書類です。

なぜなら、決算変更届で作成した各種のデータが元となって経審の書類を作成するからです。

➀完成工事高・・・決算変更届で届け出た業種別の完成工事高が経審の完成工事高になります。
➁決算数値にかかる数値・・・自己資本や利益額などすべて決算変更届の財務諸表から算出された数値が用いられます
➂経審の審査対象・・・工事経歴や決算書の内容など決算変更届で提出したものが経審の審査対象となります
➃評点の算出・・・経営状況分析申請では決算変更届と同じ決算書で経営指標の分析が行われ、評点が算出されます                 

上記の理由から決算変更届は経審を受ける建設業者にとって非常に重要な書類と言えます。

ですから、経審を受審なさる建設業者様には決算変更届とあわせて経営状況分析申請を行うことをお勧めしています。
また、同じタイミングで行っておくなら、経審の総合評定通知書の有効期間を切らすことなく次の経審へと引き継ぐことが可能になります。


いかがでしょうか?

少しボリュームの多い記事になりましたが、決算変更届を毎年提出することの重要性を少しでもお伝えしたいと思いご紹介しました。

決算変更届の作成は「慣れれば簡単」と仰る方もいれば「性に合わないから、すごく大変」と仰る方もおられます。

当事務所は決算変更届作成のみのお手伝いも喜んでさせていただきます。
お気軽にお声がけください。

最後までご覧いただきましてありがとうございまいした。